♬ライブレポート

11月13日(日)松下佳代子さんのピアノリサイタルが開催されました。松下さんは本番前、静かにベヒシュタインと語り合っていました。初めて会って小一時間どんな話をしたのでしょうか?松下さんの演奏が始まると、一瞬にして蔵は教会へと様変わりします。鐘が鳴り響き、暖かな光が降り注ぎ、祈りを捧げる。厳かで情熱的で優しくて切なくて・・時代背景や作曲家のエピソードなども交えながらの重厚感溢れる演奏会となりました。中でもリサイタルのタイトルでもある『あなたの耳の中で初めて生まれる音』は初めて聴く音なのに、どこか懐かしく心の奥深くに静かに染み入り、そしてそれは、新たな命の誕生としてそっと湧き出てくる泉の様。

「わたしも、蔵が異時間に飛んで弧を描いた瞬間瞬間を忘れません。心からわたしもみなさんと創り上げた宇宙間に感謝しております」という光栄なお言葉を頂戴しました。

松下さんは蔵のベヒシュタインの新たな可能性を引き出して下さいました。オールドベヒシュタインも松下さんの演奏を永遠に忘れない事でしょう。

【プログラム】

バッハ:アルマンド イギリス組曲2番イ短調より 

プーランク:エディット・ピアフに捧ぐ

ショパン:バラード1番ト短調

ベートーベン:熱情ソナタ

ブラームス:間奏曲OP,117-1

バッハ:イギリス組曲2番よりサラバンドと松尾芭蕉「奥の細道」の朗読

*アンコール ショパン:ノクターン嬰ハ短調遺作 / シューマン:トロイメライ

欧州で活躍する日本人ピアニスト、松下佳代子氏が到達した無我の境地!

【松下ベックマン佳代子プロフィール】

1982年に渡独。1990年ドイツ演奏家国家試験に首席合格。1989年よりデュッセルドルフ市議会より居住を依頼され、文化財であるシューマン家族が住んだ家を拠点に、国際的に音楽、社会活動を行なっている。1995年に高速道路で九死に一生を得るほどの大事故に遭遇。高次脳機能障害、脳脊髄液減少症などの後遺症に苦しみながらも演奏活動を続け、2012年に再びピアノに向かうまでに回復。同年ローマ法王の御前で、日本人ピアニストとしてはじめてリサイタル演奏をした。 現在は完全復帰をし、世界各地でピアノリサイタル活動を繰り広げている。

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